配偶者ビザのお勉強

国際結婚して外国人配偶者と日本に住むためのビザと言えば配偶者ビザ。行政書士が分かりやすく解説します。

MENU

外国人が日本の銀行口座を作るには?

銀行口座、日本に住んでいる日本人が口座開設に困った経験なんてあまり無いですよね。

強いて言うなら「必要書類はどれを持っていこうか」と悩むくらいだと思います。

 

一方、外国人にとってはどうでしょう?

実は、法律によって口座開設が制限されているんです!

つまり、人によっては銀行口座が作れないということも。

国際結婚にはこうした問題もあるんです。

 

銀行口座が作れる外国人はどういう人?来日後1年以上の場合

来日後1年以上経過している場合は、必要書類を集めれば日本人と同じように口座(普通口座)を作成することができます

1年以上という区切りをしたのは住民税課税対象者に確実になるからです。

私が確認した範囲では、ほとんどの銀行は日本に住んで1年以上経った外国人に対しては特別な制限は課していないようです。

 

銀行口座が作れる外国人はどういう人?1年未満の場合

来日後1年未満の場合、送金の制限などがある口座しか作れないかもしれません。

法律によって制限されているとお話ししましたが、ここではそれを詳しく解説していきます。

 

外国為替及び外国貿易法」(通称:外為法)という法律をご存知でしょうか?

財務大臣と経済産業大臣が所管している法律なのですが、こちらの法律にその根拠があるのです。

簡単に言うと、「外国人のお金のやり取りは制限します」という法律なんですね。

 

ただし、例外があります。

この法律の中では外国人という言い方はしておらず、「居住者」「非居住者」という言葉で線引きしています。

そして、「居住者」であれば外国人もお金のやり取りをしてもいいとなっているのです。

 

そこで疑問点が出てくるのですが、「居住者」である外国人ってどういう人を指すのでしょう?

 

法律には明言されておらず、財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について」にて居住者を定義していますので、こちらを見てみましょう。

 

居住者とは

以下、財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について」の外国人居住者の定義の抜粋です。

⑵ 外国人の場合

 

イ 外国人は、原則として、その住所又は居所を本邦内に有しないものと推定し、 非居住者として取り扱うが、次に掲げる者については、その住所又は居所を本邦 内に有するものと推定し、居住者として取り扱う。

(イ) 本邦内にある事務所に勤務する者

(ロ) 本邦に入国後6月以上経過するに至つた者

ロ イにかかわらず、次に掲げる者は、非居住者として取り扱う。

(イ) 外国政府又は国際機関の公務を帯びる者

(ロ) 外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人。ただし、外国において任命 又は雇用された者に限る。

 

つまり、日本で仕事をしているか、日本に6か月以上住んでいれば、外国への送金も可能な口座が作成できるということです。

日本人が開設している普通口座が開設できるということになります。

 

ただし、実際は銀行ごとに口座開設にあたって異なる基準を設けていますので要注意です。

 

次に6か月未満について。

来日後6か月未満は非居住者という扱いになりますので、外為法のため外国への送金は制限されることになります。

つまり、通常の口座を開設することができないんですね。

非居住者円預金という口座を作ることになります。

 

この非居住者円預金という口座、送金制限以外にもいろいろな不便さがあります。

銀行にもよるのですが、キャッシュカードがない、口座引き落としができない、手数料が高額、入出金出来る支店が限られる、など、実用には不向きです。

とは言うものの、「本邦内にある事務所に勤務する者」でない限り、日本居住歴6か月未満の方は非居住者円預金でしか口座は作れません。

 

そのため、選択肢としては2つです。

 

日本人配偶者にお金に関することは任せておくか。

もしくは、

非居住者円預金で口座を作っておいて、6か月経過した段階で普通口座に切り替えるか。

 

銀行口座が作れる外国人はどういう人?短期滞在ビザで来日した場合

 

残念ながら日本で銀行口座を作ることができません。

ノービザの方も同じです。

 

短期滞在やノービザで呼び寄せてから結婚する方もいると思いますが、この時点では作れないんですね。

 

どの金融機関がお勧め?

口座開設というハードルで考えた場合はゆうちょ銀行が最もお勧めですね。

来日後6か月未満でも口座開設が可能ですし、キャッシュカードも発行されます。

ただし、当然、非居住者という扱いになるので送金などは制限されます。

 

必要書類

◆在留カードまたは住民票の写し

◆パスポート

◆印鑑(サインでも可。ただし基本的に印鑑を求められると思います)

◆現金(最初に口座に入金するお金です)

 

どの金融機関がお勧め?民間企業編

メガバンクや地銀、ネットバンクと見てみました(全部ではないですが)。

私が調べた範囲で、外国人が口座開設するための専用ページを持っていたのは1行だけでしたので、その会社をお勧めとします。

 

ということで、民間企業では新生銀行がお勧めです。

外国人専用ページで来店・郵送での必要書類の案内もしていますし、未成年外国人についても親切に書かれています。

外国人の口座開設について真剣に考えている表れだと思いますし、そういったページを持っているということは数もこなしていると思いますので対応もいいと思います。

 

必要書類

◆下記いずれか1点

・在留カード(在留期間が1年以上とされているもの)

・特別永住者証明書

・運転免許証(交付後6か月以上経過したもの)

※印鑑無しでもOK。署名でOKです。

 

その他の金融機関について

比較的にネットバンクは外国人の口座開設にお勧めですね。

印鑑不要としている銀行も多いです。

 

また、各銀行のホームページを見ていくと、外国人に口座を作ってほしくないと感じる銀行が多いことが分かりました。

というのも、「外国人」というワードで銀行のホームページ内を検索あまりヒットしないんです。

出てくるのはローンばかり。

口座を簡単に作られてしまうと不正送金やマネーロンダリング等のリスクが高まるからかもしれません。

 

必要書類

◆本人確認書類として

・在留カード

・運転免許証

・健康保険証

・パスポート

・特別永住者証明書 など

◆追加書類として

・公共料金の請求書や領収書

・税金の領収書 など

◆はんこ(銀行によっては不要)

◆電話番号(銀行によっては不要)

◆現金(最初に口座に入金するお金。銀行によっては不要)

※追加書類は外国人本人名義が必要になります。また、名前の一致が求められます。

※在留期間や来日後の経過期間によって口座開設を断られるケースがあります。